営業職への転職を考えている方、あるいは営業職を未経験から目指そうという方は「インセンティブ」という言葉を目にする機会も多いかと思います。企業によって名称は異なり「営業報奨金」「出来高手当(出来高給)」「業績手当(業績給)」と呼ばれることもあります。
インセンティブ制度が設けられている企業では採用情報の給与条件に「基本給(月給)+インセンティブ」と記載されていることも。このインセンティブとは会社で設定した目標に対して達成していること、あるいは達成率によって支給される報奨金のこと。
営業職にはインセンティブがあって当たり前だと思われている方も多く、あるいはインセンティブが設定されていることに尻込みしてしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか?そこで今回は営業職とインセンティブの関係やインセンティブ制度についてご紹介します。
なぜインセンティブ制度があるのか?
インセンティブとは英語で「誘因、刺激」などの意味があります。企業がインセンティブ制度を設ける理由としては目標達成/成果をあげることに報奨金を支払うで、営業社員が目標達成しようという意欲を向上させることが1つです。
家庭でもよくある「学校のテストで良い点を取ったら欲しい物を買ってもらえる」感覚に近いでしょうか。その為に営業職であれば営業活動を頑張ろうという動機付けになります。
全ての営業社員が各々の目標達成する為の努力をすることにより、各々の売上が向上すれば企業全体の売上が向上します。その為にインセンティブ制度を設けることは企業にとって有益なことであると言えます。
インセンティブ対象は企業によって異なる
ただしインセンティブの支給対象は企業によって異なります。インセンティブ対象が個人の業績ではなく、チーム単位で設定されていることも。それぞれ下記条件ごとに設定されていることが多くあります。
・営業職個人に対してインセンティブを支給する
・営業チーム(部署)に対してインセンティブを支給する
・役職者(マネージャー)に対してインセンティブを支給する
営業個人がインセンティブ支給の対象であれば個人の成果でインセンティブが支給されるか、支給額が決まります。一方で営業個人は対象ではなく営業チームや部署全体が支給対象であればチーム全体の成果でインセンティブが支給されるか、支給額が決まります。
つまりチームが対象であれば自分1人が大幅な目標達成をしていたとしてもチームで達成していなければ支給されません。しかし自分が目標達成できていなかったとしてもチームで目標達成出来ていれば自分にもインセンティブが支給されます。
インセンティブの支給条件も企業次第
インセンティブが支給される条件も企業によって異なることを認識しておきましょう。例えばインセンティブの支給条件が「売上目標」であれば、100万円以上であれば〇万円、200万円以上であれば〇万円、と達成目標ごとの金額が定められている場合もあります。
また「受注金額」や「粗利益額」に応じて定められた割合を支給されることもあり、粗利益額の〇%をインセンティブとして支給することも。
営業の支給条件は受注件数や紹介件数など金額だけではないこともあり、ひとえにインセンティブと言っても企業によって支給される対象者も条件も各々異なることを認識して企業選びは行った方が良いでしょう。
インセンティブの支給は営業やお金だけでは無い
インセンティブはお金として支給されるとは限りません。商品券やクオカード、確かにお金で支給される企業が多いものの支給物も企業によって多様に設定することが可能です。
また営業職の成果に対して設定されているだけではなく、各部署、企業全体での実績に対して社内表彰+αとしてインセンティブが支給されることも。(MVP、ベストチーム賞など名称は様々です。)
なぜインセンティブ制度が無いのか?
一方で営業職にインセンティブ制度が設けられていない企業も多数あります。その理由も考えていきましょう。
先程インセンティブは営業社員の目標達成への意欲向上の為=企業の業績を向上させる為だとご紹介しました。企業としてはインセンティブ制度によって営業を発奮させ、企業の業績向上が狙い。
しかし営業職の頑張りだけでは企業全体の業績向上に繋がらないビジネスモデルや事業内容の企業もあります。例で挙げるならば製造業、メーカーであればいくら営業が頑張ったとしても技術の方々が開発や製造を行なわなければ販売する為の商品が出来ません。
また商品やサービスが非常に良いものであればお客様も自然と購入してくれるケース、営業職というよりも広告、マーケティングが見込み顧客を獲得することで業績向上に直結しているケースもあります。
もちろん経営者の考えも反映されますが、営業努力だけで業績が向上している訳では無い、または営業努力が業績に直結しない場合はインセンティブ制度も設ける狙いが功を奏さないこともあります。その為、インセンティブ制度を設けないことが多いのです。
インセンティブではなく賞与還元のケースも
インセンティブ制度が無かったとしても、賞与評価や昇給・昇格評価には営業個人やチームの成果は反映されます。ただし営業の売上や成果だけが評価対象ではないこともあり、企業全体の売上との兼ね合いもある為インセンティブよりは個人差が付きにくいことが多いでしょう。
また営業と他職種の社員とも大きな差は開きにくくなります。もちろんこれも企業ごとの評価制度や経営者の考え方も関わってくるために単純には言い切れません。
インセンティブ制度がある営業
インセンティブ制度がある企業はある意味で成果主義/実力主義である社風であることが多くあります。営業としての成果が出ないようであれば当然インセンティブが支給されることはありません。
営業として成果をあげることに自信がある人や、営業としての自分の力を試したい人、または短期間で多くの収入を得たいという人であればインセンティブ制度がある企業への転職に向いている考えや価値観を持っているといえるかもしれません。
ただしインセンティブ制度があるからと言って仕事がキツイ、大変であることに繋がる訳無いことも理解しておきましょう。重要なのはインセンティブを得る為にはどのような成果やプロセスが必要なのかという点にあります。インセンティブ=稼げる、というのも早計と言えます。
あくまでも給与評価の1つとしてインセンティブ制度は見ること。支給条件や仕事内容と兼ね合いを考えて冷静に判断することが転職活動においては必要なことです。
反面、インセンティブ制度が無いからと言って稼げないとも言えないでしょう。昇給や昇格スピードは企業よりけりであり、賞与も企業全体の業績次第でもありますがどの程度営業成績によって差が付くかも企業の給与評価次第です。
あくまでも企業の事業内容との相性や経営者の考えが反映されたものがインセンティブ制度です。安直にインセンティブの有無だけで企業を判断せず、総合的な視点で見て転職先企業を選ぶことを忘れることなく活動を行ないましょう。
営業職とインセンティブまとめ
営業職にインセンティブ制度は必ずあるわけではありません。あくまでも企業ごとの制度の違いであり、無いことも多いことを事前に理解しておきましょう。インセンティブ制度のある企業でも支給対象、支給条件なども全く異なります。
入社後に条件面でのギャップが出ることが無いよう、インセンティブ制度を設けている企業では支給条件などもチェックする冷静さをもって企業を見ることが必要です。採用・求人情報に記載されているモデル年収はあくまでもモデルであることも念頭に置いておくべきです。
またインセンティブ制度が無い営業職だからと言って給与水準が低いとは言えません。あくまでも見るべきは転職先企業の給与水準や給与評価制度であり、インセンティブの有無は事業内容との相性や経営者の考えであることが多いからです。
転職で「失敗した」と入社後に思うことが無いように、転職活動の企業を探す・選ぶ際には適切な知識を持って臨むことをお勧めします。