なぜ転職をするのかという理由は人それぞれですが、給与・休日・福利厚生といった条件面で転職を決意される方も多いのではないでしょうか。当然、転職して給与が上がる人もいれば下がる人もいらっしゃいます。
そこで今回は気になる転職した際の給与・収入についてまとめたいと思います。
転職すれば給与は上がるのか?
「転職すれば給与・収入が上がる」と考えている方も多いですが、答えとして絶対に給与が上がるとは言えません。給与を理由に転職活動される方の多くが「自分は正当な評価をされていない」「自分の会社は給与待遇が悪い」と給与面で何かしら現職に不満を持っているものです。
しかし企業から貰える給与は自分の実績だけで決定するものではありません。企業のビジネスモデルや生活エリア、また社会一般的な相場や経営者の考えなどで決定します。
つまり自分1人がいくら売上を出し、創出した利益で企業に貢献したといっても100%返ってくる訳ではありません。これはどの企業へ転職したとしても変わることはないでしょう。
従って「転職=給与が上がる」訳では無いことを念頭において転職活動を行なった方が良いでしょう。特に初任給のみに固執し過ぎてしまい、転職で失敗されるケースが非常に多くなっています。
給与を上げたいのであれば「即戦力」が望ましい
業界や職種を変える「キャリアチェンジ」が20代若手において転職することの理由として多く、同じ職種であっても異業界や異業種への転職を希望される人は高い割合でいらっしゃいます。
ある意味では20代若手だからこそ未経験業務へのキャリアチェンジが出来るチャンスがあるとも言えます。しかし未経験、ポテンシャルで採用される場合では給与が上がる、あるいは給与を上げる交渉も難しいでしょう。
もちろんキャリアチェンジでも給与が上がる方はいらっしゃいます。先程ご紹介した給与が決定する要因である「社会一般的な相場」より低い水準の給与で働いている方が通常の水準になる場合は上がることはあります。
しかし転職時の初回提示給与は転職先が儲かっている、儲かっていないの話ではありません。「社会一般的な相場」「企業の人事制度」「採用者の前年年収」、そして「これまでの経験・実績」で決定されるものです。
転職先に入社してどのくらいの実績を上げ、貢献してくれるのかに期待して給与が決定される分、同業界・職種での経験や実績を持たない方がどのくらいの実績を上げてくれるかは入社してしばらく期間が経たなければ分かりません。
また入社後に教育する期間も必要になり、その間も企業は教育投資をしなければなりません。だからこそキャリアチェンジで現在の給与よりも上げることは「スグには難しい」ことが分かります。
上記を考えると同業界・同職種での経験を持つ「即戦力」であれば実績を出す見込みがある程度出来ます。その為に給与を上げること、給与を上げる為に交渉することも可能になるのです。
転職時は初回提示給与よりも生涯年収
転職時に初回提示給与だけを見ることは転職で失敗する1つの原因です。初回提示給与が高いから、10年後、20年後はより高い給与が貰えると思われるかもしれません。しかしそれは誤った考えであることもあります。
低い給与を理由に転職される方であれば、初回提示給与が高い企業に採用されたいと思うのは当たり前かもしれません。それは企業も初回提示給与を高めに設定しておけば、採用されたいという人が集まると考えている可能性も有ります。
もちろん企業の有効な採用手段ではありますが、あくまでも転職先を探す立場としては初回提示給与から順調に給与が上がっていくかどうかは企業によっても異なることを理解しておきましょう。
転職時には初回提示給与だけを見るのではなく、あくまでも自分のキャリアにとって価値のある転職先であるのかどうか、また給与を見るのであれば生涯年収という長期的な目線で考えた方が転職後に失敗する可能性は低くなります。
初回提示給与が高いということは、それだけ早期に実績を出すことを求められることも意味しています。また早期に実績を出すことを求められる分、教育を受けるというよりも自分自身で学びながら仕事をしなければならないことも。基礎が自己流なだけ、時には実績を出すこともありますが安定しないケースがあります。
入社当初の給与が下がったとしても実績があげられるよう教育をきちんと受け、社会人としてスキルを向上させていける環境に身を置いた方が生涯で貰える年収は上げられるようになるでしょう。
働き方とのバランスも重要
もちろん給与と労働時間のバランスも転職活動においては重要です。以前、働き方の見方に関してご紹介させていただきました。
給与が高いだけで働き方を考えていないことや想定出来ていなことも転職時には起こりがちな事です。目の前の高給に目がくらんでしまうこともあるでしょう。
しかし転職して企業で働くということは一時のことではなく何年、何十年先まで関わってくるものです。早期退職になってしまえば自分のキャリアに大きな影響を及ぼします。
だからこそ転職時には給与だけを考えるのではなく働き方も見ることは重要。もちろん仕事内容や事業内容、どのような経験や知識を習得できるかなど様々な観点から自分の転職先を決めましょう。
ポテンシャル採用で給与を上げるには
転職する業務への実績・経験が無い場合は給与を上げる為の交渉は難しいものです。ポテンシャル採用では「意欲」を買って採用するという側面もある為、企業によっては「提示した給与で入社したいと思ってくれる」ことが入社意欲だと考えていることもあります。
またポテンシャル採用では給与交渉への材料が少なく、「私を採用すればこのくらいの実績を出して、御社に貢献出来ます」という根拠も多くはありません。しかしポテンシャル採用においても給与交渉の材料になるものもあります。
・現職での実績
・前年の年収/現職の給与
・転職活動での内定取得実績
・特筆すべき資格や検定、スキル
採用では1人当たりの人件費が決められていることが多く、給与が交渉によって上げられるといっても限界はあります。ただその範囲内で上げることが出来るのもまた事実です。
上記の材料が有効になるのは即成果をあげることが出来る人材であることを示す訳ではありません。あくまでもポテンシャル採用として、長期的な目線においては貴重な人材だと企業に印象を与える為、「将来を見据えて是非採用したい」や「他社には取られたくない」という心理が働きます。
現職で成果を出すことが転職時にも自分の価値を上げる
給与が低いことでモチベーションが上がらず、現職での仕事がおざなりになってしまっている方もいらっしゃいます。
そこで、給与を上げられるように転職活動に精を出す。
しかし転職活動で企業が見ているのは、あくまでも現職での実績や成果、取り組み方です。いかなる給与体系であっても、それと仕事上での実績や評価はまた別の話。
まずは現職を一生懸命に取り組み、成果を出すことが転職活動の成功にも繋がります。現職での実績を出すことが転職活動で給与を上げる為のポイントでもあります。
転職活動は全てがリセットされるわけでは無く現在自分の仕事が次のキャリアにも関わっています。そのことを忘れずに現職に就いている内は実績を積むことに集中することをお勧めします。
転職すれば給与は上がるのか?まとめ
転職すれば給与は上がるかどうかと聞かれれば「絶対に給与が上がる」とは言えません。若い年代の方であれば初回提示給与は下がる事の方が多いでしょう。
企業があなたにその給与を提示したことや、企業の給与制度は必ず何かしらの理由があります。安易に給与だけで転職先を決定してしまうと思いもよらないギャップが生じることもあるでしょう。その為、初回提示ではなく生涯年収や高すぎないモデル年収で判断することをお勧めします。
残業時間や出張頻度、休日出勤など働き方もしっかりとイメージしてから転職先を決めることが長期的な目線では必要な事です。
また現在の仕事への取り組み方、実績は転職活動にも影響を及ぼします。給与が低いからと言っておざなりになってしまえば転職先があなたを評価することも難しいでしょう。転職を考えている人は未来を見ていますが、転職先はあなたの過去を見ています。
転職によって給与を上がるにはポテンシャルであっても即戦力であっても「会社に貢献出来る人材」と認められることが大切であることを心掛けましょう。