「退職理由を話した瞬間、面接官の顔色が変わった・・・」
「面接時間のうち、4分の1は退職理由に関して突っ込まれました」
初めて転職活動を行なう方のエピソードを聞くと、よく退職理由で面接につまづいてしまう方が多いように感じます。退職理由を聞かれるのは、大半が面接の前半戦。前半の退職理由でつまづいてしまうと後から挽回することはなかなか難しいものです。
なぜ退職理由が重要なのか
今回は退職理由が重要な理由と、伝える上でのポイントを5つ紹介させて頂きます。
退職理由は評価ポイントではない
前職の退職理由は面接内において評価されることはほぼありません。
とはならないことは想像が出来るでしょう。とはいえ、書類上で退職理由を記載することが少ないことも事実。退職理由を面接官が聞くのも、書類上で判断できない「人柄」や「価値観」「志向性」、「仕事への考え方」などを判断しているのです。つまりは他の質問で面接官が見ているものとはさほど変わりはありません。
しかし評価の指標にはならない。このことを意識して退職理由の伝え方を考えていきましょう。
退職理由で大切なのは「納得感」
相手に退職理由を伝えた時に「その理由ならば仕方無い」や、「その理由なら問題ない」と思わせることが大切です。面接官へ退職理由を伝えた時、更に突っ込まれることや顔色を変えてしまうのは、退職理由が腑に落ちないものであるからです。
退職することを簡単に考えているのではないか=次もスグに辞めてしまうのではないか。(早期退職リスクがある)
もしかすると嘘をついているのではないか=面接で話している内容も嘘をつくのではないか。(入社後のミスマッチリスクがある)
あまりにも後ろ向きな退職理由であれば、面接官はこう考えます。
すぐに退職することを考えてしまう人ではないか=次も同じように考えて辞めてしまうのでないか。(早期退職リスクがある)
会社を辞めることは決して悪いことではありませんが、自ら入社すると言って入った以上その責任は自分にあり、退職は誰かに負担を掛けることは認識しておくべきです。その上で面接官に上記のような印象を与えないように、ポイントを踏まえて退職理由の伝え方を考えていきましょう。
退職理由の伝え方/3つのポイント
自己責任として捉えられているか
仕事を選ぶこと、企業を選ぶことはどのような理由であれ、自らの意志で選択し決めることです。それは仕事上でも活躍出来るかどうかの指標となります。多くの企業では自らの意志で判断し、動ける人を求めています。つまり退職することに至った理由を他の人や事柄に責任を押し付けてしまうと、仕事上でも同じような事をする人だと判断されてしまいます。(会社の倒産や経営不振、事業部撤退であれば話は違います。)
退職理由を一度書き出してみましょう。そこで自分に出来ることはなかったのか、変えることは出来なかったのかを考えてみてください。
悪い例
私は営業職として勤務してきましたが、現職の商品は他社に比べてコスト面などで大きな欠点がありました。その為に営業として売り上げを出すことが難しく、周りの営業社員も私と同じように成果が出ずに苦しんでいました。このままでは営業職として成功することは出来ず、会社としても成長しないのではないかと考え、退職することを決意しました。
上記の例では「会社や商品が悪いから自分は成果が出なかった」と言っているように感じさせてしまいます。そこで自分がどのように動いたのか、努力をしてきたことを付け加えましょう。
良い例
私は営業職として勤務してきましたが、現職の商品は他社に比べてコスト面などで大きな欠点がありました。その為に営業として売り上げを出すことが難しく、周りの営業社員も私と同じように成果が出ずに苦しんでいました。このままでは営業職として成功することは出来ず、会社としても成長しないのではないかと考え、営業メンバーと共に営業トークを練り直す為の会議を実施し、また商品についても改善出来るようお客様から頂戴したフィードバックを上司に提出していました。しかしながら会社としては商品は変えるつもりがなく、下がっている売上もあくまでも時期的な要因だけだと危機感も無い為、長期的に就労することに不安を感じ退職することを決意しました。
人間関係や休日、福利厚生が理由であったとしても考え方は同じです。自分で何か出来ることはなかったのか、元々入社前に調べておけば分かることが退職理由になる方もいらっしゃるでしょう。その時は素直に「自分が入社する前に、より深く調べておけば良かったのですが」と、自分の否を伝えることも印象は悪くならないポイントです。
自分で変えることが出来る範囲であれば、会社を辞める必要は無いと判断されることもあります。また自分で考え、実行することで転職する必要がなくなることもあるでしょう。
転職の目的は会社を変えることではなく、自分にとってより良い環境に身を置くこと、または人生を豊かにするための手段です。転職すること、退職することに躍起になることはありません。もう1度退職する理由と自分が出来ることを見直してみる冷静さも、転職には不可欠です。転職は冷静に考えてからでも遅くはなく、冷静さをもって転職活動をするからこそ、面接官にとっても納得感のある退職理由を自分の言葉で伝えることが出来ます。
転職することに前向きな事ばかり伝えていないか
会社に対して悪いことも言っていない。誰の責任にもしていない。しかし自分がキャリアアップをしたい、チャレンジをしたいとだけを伝えることも避けましょう。特に在籍中の企業へ入社して2年未満の方は避けた方が良いでしょう。転職先が専門性が高く、1人前になるまでに時間が掛かる企業であれば更に長く在籍していたとしても避けるべきです。
悪い例
現職に対して嫌だと思うことなく、仕事に遣り甲斐も感じてはおりましたが、私としてはより厳しく、成長出来る環境に身を置きたいと感じるようになりました。成長する為には新しい仕事に挑戦することが一番であると私は考えております。常に新しいことに挑戦し続けることで自らを成長させ、キャリアアップを図っていきたいと心に決め、退職することを決意しました。
上記のような理由は、選考を受ける企業によっては浅い考えで退職する方だという印象を与えてしまいます。在職中の企業に対して全く不満が無いのに辞めてしまうということは、次に入社する企業も何も不満が無いのに退職してしまうと感じさせてしまい、退職理由として納得感がありません。
転職するということは、今の会社を辞めるということです。転職したい理由だけではなく、「辞めなければならない理由」を伝えることも考えましょう。
面接を受ける企業で変えることが出来るのか
退職理由を考えた後は、当然転職先がどのような企業が良いのか、どのような企業であれば退職となった要因を解決することが出来るのかを考えられると思います。つまり退職理由を伝えた先が、「その理由であればウチで解決できる」と感じることはある種当たり前のことなのです。
しかし転職活動に躍起になっていると、それも見えなくなってくるときもあるでしょう。次の企業でも当てはまってしまう退職理由を伝えてしまう方も少なくありません。
元々は営業職だというお話で聞いておりましたが、実際には技術的な要素が多く、入社後も1か月間工場での実習があり商品の製造工程や専門的な知識、修理方法など学び、仕事内容も修理やメンテナンス等、営業というよりも技術職に近いような仕事でした。私としては技術ではなく、シンプルにお客様と会話し、ヒアリングした上で提案が出来るような営業職を目指したいと考え現職に入社しておりました。私の目指していきたい営業職とのギャップがあり、今回は退職することを決意しました。
面接や転職活動では退職理由⇒転職活動の軸⇒企業への志望動機という一連のストーリーや流れがあります。退職理由が次の会社で解決できないものである場合、流れに一貫性が無く、その企業へ志望している理由も「本当にウチの会社を分かっているのか?」と感じさせてしまいます。
退職理由が受けている企業に対して適切なものであるかは見直してみましょう。
退職理由の伝え方まとめ
退職理由は面接内での評価点ではなく、あくまでも面接官が納得できるものであるかが重要です。また退職理由を見直すことや冷静に考えることは、今回の転職が本当に自分にとって不可欠なものであるかを見つめ直すきっかけにもなります。
退職理由を浅はかに考えないこと、退職理由を面接官に追及されないように1回の答えで納得されるような内容を考えていきましょう。退職理由はあなた自身の人柄や考え方を示すことに繋がります。
志望動機や自己PRと同じように、相手にどのような印象や感想を持たれるかを客観的な目線で吟味して、面接序盤でつまづくことの無いように伝え方を工夫していきましょう。